父が残したのは小さな町工場です。ただし、すでに廃業しています。眼鏡の部品を作っていたのですが、外国の安い製品に押されて、父の代で廃業を余儀なくされました。まだ、父が健在のうちは良くもってくれたほうだと思っています。その工場から眼鏡製造の機械、研磨の機械を運び出すと、意外に狭い。中は約30坪ほどしかないんです。こんなに狭かったかなと感慨深く思いました。

ただ、この工場は駐車スペースが工場前に約３台分しかなく、いまどきのニーズには合いません。当然賃貸にだしても駐車場がないのであれば借り手はつかないでしょう。ですから取り壊すしかないと考えていました。

ところが、あることからアグナスさんに相談に乗ってもらうことになり、意外なアドバイスをいただきました。建物が頑丈なので、このまま駐車場として使ったらどうですか、という提案です。しかし、周囲には住宅が多く、大きな音は出しにくい雰囲気でした。なので、駐車場にするには無理だと考えていたのですが、建物をそのまま利用して高級バイク専用の駐車場として使えば、騒音などもないし、セキュリティの面からも高級バイクのオーナーさんは安心して借りてくれると思いますよ、というアドバイスでした。

まずは、入り口をバイクが出入りしやすいように、改装し、また24時間監視のセキュリティーをつけました。そして、中をきれいにし、バイクのメンテナンスができるスペースをつくり、オープンしました。すると、あっという間に契約で埋まってしまったのです。中は高級バイクでいっぱいになりました。建物の防音がしっかりしているせいか、またオーナーさんも気遣って、バイクのエンジンを早めに切ってくれるためか、騒音トラブルなどは一切なく、想像以上にうまくいっています。

古い工場ですが、その分頑丈に作られていたのがよかったようです。こんな利用方法があるなんて思いつきませんでしたが、アグナスさんの適格なアドバイスで大家ライフを楽しんでいます。