運営会社:アグナス株式会社

土地を売却したら税金はいつ払う?譲渡所得の計算方法と特例を解説

土地を売却したら払う税金のタイミングはいつか

土地の売却時には必ず税金が徴収されます。しかし「いつ・何の税金を・どのくらい払えばよいのか」気になる方もいるでしょう。

この記事では、土地売却時に徴収される税金の種類や支払うタイミング、税額の計算方法を解説します。支払いの時期は契約時・抵当権の抹消時・確定申告後の3つのタイミングに分けられます。税金控除の特例も紹介しますので、売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

関連記事:土地の売却でおさえておくべきポイントとは?費用や注意点について解説

土地の売却には税金が必要

土地を売却する際は印紙税・登録免許税・所得税や住民税が課されます。ここからは、各税金について詳しく解説します。

売買契約が成立したときに支払う「印紙税」

印紙税は土地の売却時、売買契約書を作成した時点で発生する税金です。 売買契約書には印紙を貼りつけ、消印もしくは署名をしたあとに納税するよう法律で定められています。
参照元:印紙税法第8条の2|e-Gov法令検索

印紙税額は400円〜20万円(軽減税率適応時:200円〜16万円※)であり、土地の売却金額によって変動します。売買契約書は売主と買主用に2通作成するため印紙も2枚必要となりますが、一般的には各々で負担します。印紙を貼り忘れると過怠税が発生し、印紙税額の3倍に相当する金額が徴収されるため注意しましょう。
※2022年4月1日以降に10万円以上の金額で土地を売却する場合は軽減税率が適応

抵当権を抹消する「登録免許税」

登録免許税は土地の抵当権を抹消する手続きにかかる税金で、買主に引き渡すタイミングで納税します。抵当権とは住宅ローンなどが返済できなくなったときに、担保にしていた土地や建物で弁済を受ける権利のことです。
税額は土地1つにつき1,000円ですが、登記申請の手続きと合わせて司法書士に依頼するケースでは、登録免許税とは別に1〜2万円ほどの手数料がかかります。

売却益が発生したら「所得税・住民税」

売却時に利益が生じると課される所得税と住民税は、2つ合わせて「譲渡所得税」とも呼ばれます。 支払うタイミングは、以下のとおりです。

譲渡所得税 支払うタイミング
所得税 確定申告時
住民税 売却の翌年6月以降

なお、所得税を納める方は東日本大震災の復興財源確保のために、令和19年まで復興特別所得税が同時徴収されます。復興特別所得税は支払う税額の2.1%であり、所得税と同時に納めなければなりません。 住民税と所得税・復興特別所得税は納税するタイミングが異なるため、把握しておきましょう。

土地売却時に必要な税金の計算方法

所得税と住民税は、譲渡所得に税率をかけて算出します。 ここからは、譲渡所得の計算方法と所得税・住民税額の出し方を詳しく解説します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得を算出するには、以下の計算式にそれぞれ当てはめてみてください。

<譲渡所得の計算式>
譲渡所得 = 譲渡額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額 取得費は土地や建物の購入にかかった費用であり、譲渡費用は売却時に支払った費用です。

取得費 譲渡費用
・購入代金
・購入時の不動産仲介手数料
・購入で支払った税金
・土地測量費用
・取り壊し費用 など
・売却時の不動産仲介手数料
・登記費用、登録免許税
・印紙税
・立退料や違約金
・取り壊し費用
・土地測量費用 など

売買契約書がなく土地を購入した際の取得費がわからない場合は、譲渡額の5%を概算取得費として当てはめます。ただし、概算取得費で計算すると、税額が高くなるケースが多く注意が必要です。 売買契約書が見つからない場合は、以下の書類に紛失理由を明記した「申述書」を添付して確定申告しましょう。

  • ・住宅ローンの支払い状況が記された通帳
  • ・購入額を証明できる通帳
  • ・住宅ローン契約時の金銭消費賃借契約書(コピー)
  • ・毎月の返済額や借入金額などが記されたローン償還表

税務署が内容の信憑性があると判断した際に、確定申告が認められます。

所得税・住民税の計算方法

譲渡所得に税率をかけると所得税と住民税を出せますが、土地の所有年数によりパーセンテージが異なります。土地を売却した年の1月1日を基準として所有期間が5年以上であれば長期譲渡所得、5年未満は短期譲渡所得として計算します。 所有期間ごとの税率は、以下のとおりです。

所有期間 税率(内訳)
長期譲渡所得
(5年以上)
20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
短期譲渡所得
(5年以下)
39.63%(所得税30.63%、住民税9%)

相続した土地を売却するケースでは、被相続人が購入した日が引き継がれます。

土地売却において税金控除が可能となる特例がある

土地売却時の所得税や住民税が高額になるケースが多いなか、7つの特例を活用できると最大で5,000万円の控除を受けられます。特例の控除額を差し引けると、大幅に税額を下げられたり非課税になったりするため、該当するか確認してみてください。

特例の詳細 控除額
公共事業用として土地や建物を売却 5,000万円
マイホーム・土地・借地権を同時に売却
(一定の要件有り)
3,000万円
再開発やまちづくり事業などの特定土地区画整理事業に土地を売却 2,000万円
独立行政法人中小企業基盤整理機構や地方公共団体などの特定住宅地造成事業に土地を売却 1,500万円
個人が平成21年〜平成22年に取得した土地を売却 1,000万円
農業委員会の斡旋により土地を売却 800万円
都市計画区画内の空き地や空き家・空き店舗の土地を500万円以下で売却 100万円

税金の特例控除を受ける際は、土地の売却益がなくても翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告が必要です。確定申告期間は1ヶ月のため、あらかじめ申告書類を準備しておきましょう。

まとめ

土地を売却すると印紙税・登録免許税・所得税・住民税が徴収されます。所得税と住民税は税額が大きくなりやすいため、事前に計算しておくと安心です。 所得税を納める際は、令和19年まで税率2.1%の復興特別所得税が同時徴収されるため、さらに納税額が嵩みます。しかし、7つの特例が展開されており、条件に合えば最大5,000万円の控除が受けられます。 土地売却のタイミングを見計らい、特別控除をうまく活用して多くの売却益を手元に残しましょう。