昨今、自転車利用の増加に伴い、駐輪場経営に対する注目が高まっています。しかし、「許可は必要なのか」「どのような経営方式があるのか」など、事業を始めるにあたっての疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。 本記事では、駐輪場経営に関する許可の有無から、おもな事業モデル、経営のメリット・デメリットについて解説します。

駐輪場経営に許可は必要？

駐輪場経営を始めるにあたって、まず気になるのが「許可が必要かどうか」という点です。 結論から言えば、原則として駐輪場経営には特別な許可は不要です。しかし、場合によっては許可が必要となる可能性もあります。詳しく見ていきましょう。

原則として許可は不要

一般的に、駐輪場を運営するために特別な許可や免許は必要ありません。これは、駐輪場が公共の交通機関や商業施設の一部として機能することが多く、特定の業種に該当しないためです。そのため、土地や施設を用意し、適切な管理体制を整えることで、比較的簡単に駐輪場経営を始めることができます。

駐輪場経営に許可が必要になるケース

駐輪場経営において、原則として許可は不要ですが、特定の条件下では許可が必要になる場合があります。 たとえば、駐輪場が公共の道路や公園などの公共用地に設置される場合、自治体からの許可が求められることがあります。また、駐輪場の規模が大きく、周辺環境に影響を与える可能性がある場合も、環境影響評価や建築基準法に基づく許可が必要となることがあります。さらに、特定の地域では、都市計画法や地域の条例により、駐輪場の設置に関する規制が設けられていることもあります。 事前に自治体や専門家に相談し、必要な手続きを確認することが重要です。

土地がなくても駐輪場は経営できる

駐輪場経営を始めるにあたって、必ずしも自分の土地を所有している必要はありません。実際、多くの駐輪場経営者は土地を所有せずに事業を展開しています。 以下では、土地を持たない場合の駐輪場経営の方法について詳しく解説します。

土地を借りる

土地を借りることは、駐輪場経営を始めるための一般的な方法の一つです。土地の所有者と賃貸契約を結び、その土地を駐輪場として利用します。 土地を借りるメリットは、初期投資が比較的抑えられる点です。土地の購入と比べて、賃料は固定費として発生するため、収益性の計算が重要です。また、立地条件が良い場所を選ぶことで、利用者の増加が期待できるでしょう。 そのほかリスクとして、契約期間や更新条件などを慎重に検討する必要があり、土地所有者の意向で契約が終了する可能性がある点もおさえておきましょう。 駐輪場設備の設置や改修には土地所有者の許可が必要となるので、その部分においては注意が必要です。

土地を買う

駐輪場経営を長期的に安定させたい場合、土地を購入することも一つの選択肢です。 自己所有の土地で駐輪場を経営するのは、初期費用は大きくなりますが、長期的には安定した経営が可能となるでしょう。たとえば、土地の価値上昇による資産価値の増加が期待でき、また自由に設備や改修などにも投資しやすくなります。ほかのメリットとして、将来的に他の用途に転用することも可能です。 懸念点は、資金調達が事前に必要になったり、また立地条件や周辺環境を十分に調査することが重要で、適切な土地を見つけるのに時間がかかる可能性が挙げられます。

駐輪場経営に適した土地の特徴、選ぶポイント

駐輪場経営を成功させるためには、適切な土地選びが重要です。おもに駐輪場経営に適している土地の特徴を3つ紹介します。

1. 主要駅に近い土地

主要駅の近くの土地は、通勤や通学で自転車を利用する人が多いため、駐輪場の需要が高いエリアです。駅から徒歩圏内の場所に駐輪場を設置することで、多くの利用者を見込むことができます。また駅周辺は土地の価格が高いことが大半ですが、その分高い収益を期待できるでしょう。

2. 狭小地や変形地

狭小地や変形地も駐輪場経営に適しています。これらの土地は他の用途に利用しづらいため、比較的安価で手に入れることができます。駐輪場であれば、スペースを有効活用できるため、狭小地や変形地でも十分に運営が可能です。とくに都市部では、こういった土地を活用することで、収益を生み出せる可能性があります。

3. ショッピングモールの近くは避ける

ショッピングモールの近くに駐輪場を設置することは一見魅力的に思えるかもしれませんが、実際には避けた方が良い場合があります。 ショッピングモールには既に専用の駐輪場が設置されていることが多く、競争が激化する可能性が高いです。また、モールの駐輪場は無料で提供されることが多く、料金を設定する駐輪場は利用者に選ばれにくい傾向があります。そのため、他の立地条件を検討することが賢明です。

駐輪場経営の主な事業モデル

駐輪場経営にはいくつかの事業モデルが存在し、それぞれにメリットとデメリットがあります。 ここでは、代表的な3つの事業モデルについて詳しく解説します。

自営する

自営する場合、土地の取得から駐輪場の設置、運営までを自分で行います。このモデルの最大のメリットは、収益を全て自分で得られる点です。また、運営方法や料金設定などを自由に決められるため、柔軟な経営が可能です。しかし、初期費用は高くなり、設備の建築や集客、管理などの運営にかかる手間やリスクも全て自分で負う必要があります。

管理委託を利用する

管理委託を利用する場合、駐輪場の運営を専門の管理会社に任せることができます。このモデルのメリットは、運営にかかる手間を大幅に削減できる点です。管理会社が日常の運営やメンテナンスを行うため、オーナーは収益を得るだけで済みます。また、専門知識を持つ管理会社が運営することで、効率的な運営が期待できます。ただし、管理委託料が発生するため、収益の一部を管理会社に支払う必要があります。

一括借り上げで土地と施設を事業者に貸す

所有している土地を管理業者に託し、管理会社から一定の土地の使用料を得る方法です。駐輪場の運営を専門の管理会社に任せることができます。このモデルのメリットは、運営にかかる手間を大幅に削減できる点です。管理会社が日々の運営やメンテナンスを行うため、オーナーは土地の使用料で安定した収入が得られるでしょう。

駐輪場の運営管理については「駐輪場の運営管理を丸投げしたい！管理委託と業者選びのポイント｜サイクルプラザ」の記事で解説しています。

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